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鬼が届ける大地のパワー 愛知県奥三河の「花祭」

山深い奥三河の秘祭、花祭
愛知県の北東部には、奥三河と呼ばれる一帯が広がっています。
三遠南信と呼ばれることもあり、長野県、静岡県と接し山林の面積が九割以上を占めるこの地域には「花祭」というお祭があります。
この花祭りは国の重要無形民俗文化財に指定されている伝統的な神事で、寒さが厳しくなる冬の11月から、翌年3月までの間に奥三河の各地区で行われます。
人間の魂や身体が最も衰える霜月(旧暦11月)の時季に、神仏を舞庭と呼ばれる祭場に招き降ろし、村人が神仏と交遊して新しい自己に生まれかわる再生の祭りです。
地元の人々は「花祭」を単に「花(はな)」と呼びます。
11 月。冬至が近付くにつれ太陽の力が衰えていくなかで、食糧は足りるか、正月を越せるか、冬を乗り切れるか。焼畑中心だった山間部の人たちは、飢えと寒さに不安を覚えました。
太陽は、農作物の生長に欠かせません。このままでは死んでしまう。何とかして太陽の勢いを再び呼び覚ましたい。来年こそよき実りの年たれ。神よ、わが村に幸を与えたまえ。
そうした生への願いが全国津々浦々から神々を呼び寄せ、接待し、幸を約束させるのです。
この祭りで大活躍するのが「鬼」たちです。
子どもたちが愛らしく舞う「花の舞」、巨大な仮面の鬼が鉞をかざして舞う「山見鬼」、「榊鬼」など、さまざまな舞が夜を徹して舞われます。
山深い奥三河の秘祭、花祭
愛知県の北東部には、奥三河と呼ばれる一帯が広がっています。
三遠南信と呼ばれることもあり、長野県、静岡県と接し山林の面積が九割以上を占めるこの地域には「花祭」というお祭があります。
この花祭りは国の重要無形民俗文化財に指定されている伝統的な神事で、寒さが厳しくなる冬の11月から、翌年3月までの間に奥三河の各地区で行われます。
人間の魂や身体が最も衰える霜月(旧暦11月)の時季に、神仏を舞庭と呼ばれる祭場に招き降ろし、村人が神仏と交遊して新しい自己に生まれかわる再生の祭りです。
地元の人々は「花祭」を単に「花(はな)」と呼びます。
11 月。冬至が近付くにつれ太陽の力が衰えていくなかで、食糧は足りるか、正月を越せるか、冬を乗り切れるか。焼畑中心だった山間部の人たちは、飢えと寒さに不安を覚えました。
太陽は、農作物の生長に欠かせません。このままでは死んでしまう。何とかして太陽の勢いを再び呼び覚ましたい。来年こそよき実りの年たれ。神よ、わが村に幸を与えたまえ。
そうした生への願いが全国津々浦々から神々を呼び寄せ、接待し、幸を約束させるのです。
この祭りで大活躍するのが「鬼」たちです。
子どもたちが愛らしく舞う「花の舞」、巨大な仮面の鬼が鉞をかざして舞う「山見鬼」、「榊鬼」など、さまざまな舞が夜を徹して舞われます。

修験者たちが伝えた神との交感

平安時代のおわりから室町時代にかけて、この地域を流れる大入川が流れこむ天龍川は、紀伊半島に位置する熊野三山から、信州の諏訪大社へと行き来する修験者たちの修行路でした。

修験者たちは天龍川流域の村々にさまざまな修験道の行事を伝えましたが、その中心は村人たちの穢れを祓い、災いを除く「湯立」でした。三遠南信地域の霜月神楽が今も「湯立」を中心にしているのはこのためです。

歴代の天皇たちに篤く信仰された熊野修験道はその後、承久の変などによって衰退し、熊野三山を落去した多くの修験たちが全国の各地に土着しましたが、戦国から安土・桃山時代、奥三河にもこうした修験者が移り住みました。

この地域に住みついた修験者たちは、修験道の教義を村人たちに理解してもらうため、湯立の祭儀を土台に、当時都で流行していた芸能を採り入れて大神楽を創出しました。

神仏と村人たちが交遊する「神遊び」の主体は、「舞庭(まいど)」で舞われる数々の舞にあります。

「舞庭」と称されているように、それは舞台ではなく、舞を舞う舞手も村人と同じ位置で、同じ目線で舞を舞います。

舞手たちは舞庭に降臨した神仏が依り付いた神仏です。

村人たちは、神仏の顕現した舞手と共に舞うことで神仏と交遊し、神仏から穢れを祓われ清められ、新しい生命力を授かるのです。

なぜ「鬼」がパワーをもたらすのか?

花祭を創出した修験者たちの始祖である役小角(えんのおづの)は、鬼神を使役できるほどの法力を持っていたといいます。
彼には、前鬼と後鬼という二体の鬼が付き従っていました。

鬼は、酒呑童子に代表されるように人間界に悪さをはたらいて退治される悪者とされることも多いのですが、一方では人間が持ち得ない大いなる力をもった存在ともされます。

鬼は自然界を統べる神と人間との橋渡し役となり、鬼の面を被り舞を踊ることでその力を人々に授けることになるのです。

花祭にはさまざまな鬼が登場します。

中でも「榊鬼(さかきおに)」は最も重要とされる鬼で、大地に生命力を吹き込み、五穀豊穣をもたらす鬼といわれています。

鉞(マサカリ)を振るって舞う鬼と共に舞う村人たちも、鬼の強力なパワーを授けられ、強力な身体と魂を得て生まれかわる、生成・再生を体感するのです。

人びとの暮らしと「花祭」

ここまで、この「花祭」に関する謂われや歴史を紹介してきましたが、いま祭を運営するこの土地の人びとは、純粋にこのお祭を楽しんでいます。
地元に暮らす人も、どこか他の地方に離れて暮らしている人も、祭の開催時期には故郷に戻ってお祭に参加することで、大切なふるさとの神事を守っています。

各地の開催地のホームページにも見に来るだけでなく、舞、踊りに参加することを呼びかけていて、振舞われるお酒と共に、観光客にも一緒に踊ることを勧めています。

夜を徹して行われる花祭りは「寒い、眠い、煙い」と表現され、一晩中お祭りに参加することでその魅力にどっぷりはまる人もいます。

祭チャンネルでは、奥三河の各地の「花祭」の映像をアップロードしています。みなさんにも、この新しい年を寿ぐ鬼たちの祭を体感してほしいと思います。

  • 名称

    愛知県奥三河の「花祭」

  • 開催月

    11月

  • 開催場所

    設楽町、豊根村、東栄町。

  • 最寄り駅

    東栄駅

  • 主催者

    東栄町観光まちづくり協会

  • 関連情報

最終更新日:2024.05.07

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